性風俗のお仕事をされている方へ(1)注意すべき病気

性風俗のお仕事をされている方へ(1)注意すべき病気

性風俗のお仕事をするうえで心配な点、気を付けて頂きたい事について、婦人科的な視点からご説明していきたいと思います。(日本性感染症学会発行の性感染症 診断・治療ガイドライン2011を参考にしています)あなたの身体を守るために、婦人科クリニックを上手に使ってください。

用語解説

  • 性交渉(性行為):性交渉(性行為)とはセックスのことですが、ペニスの膣への挿入だけでなく、ここではオーラルセックスなども含めた意味で使用します。
  • オーラルセックス:口を用いて行う性器への愛撫を言います。女性の口でペニスを舐めたりしごいたりして射精させる、または男性の口で女性の性器を舐める、舌を性器へ挿入するなどを指します。
  • 性感染症(性病):性行為やそれに類する行為や、オーラルセックスによってうつる病気の事です。
  • おりもの(帯下:たいげ と読みます)膣から出る分泌物の事です。
  • 外陰部:性器の外側の部分です。女性では大陰唇や小陰唇周囲を指します。
  • 症状:症状とは病気にかかった時の体の変化を言います。自分で気がついた症状を自覚症状と言います。患者さんが自分では気がつかず、人から指摘される症状を他覚症状と言います。自覚症状は、お腹や外陰部がいたい、かゆみがある、発熱、おできやイボがある、おりものが多い、おりものが臭う、トイレが近いなどの普段とは違う状態がある場合のことを言います。

1.注意したい病気

性風俗のお仕事をされる場合、特に性感染症への注意が必要です。性感染症には、代表的なものでは下記のようなものが挙げられます。
梅毒、淋菌感染症、性器クラミジア感染症、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、膣トリコモナス症、毛ジラミ症、B型肝炎、C型肝炎、HIV感染症、などがあります。
腹痛、外陰部のかゆみ、痛み、おりものの異常、おりものの匂いがきになる、外陰部のいぼ、おでき、水ぶくれ、潰瘍、なかなか治らない手や足の赤い湿疹、微熱が続く、などなど、気になる症状がある時は、婦人科の受診をおすすめします。また、症状が無くても感染している場合もあります。
次の章でくわしくご説明します。

2.最低1ヶ月に一度は性感染症(性病)の検査をしましょう

性風俗のお仕事をされている場合、症状が無くても定期的な性感染症(性病)の検査が必要です。性感染症には潜伏期間があります。潜伏期間というのは、感染しても症状が出ない、または検査しても出ない期間のことを言います。性感染症の病気や潜伏期間、症状についてご説明します。

1)性器ヘルペス

単純ヘルペスウイルスI型もしくはⅡ型によって起こる病気です。潜伏期間は2日から10日で、外陰部に痛みやかゆみ、水ぶくれができ、それが崩れて潰瘍になります。初めての感染では38度くらいの発熱、頭痛、痛みで排尿ができないなど、入院するような重症になることもあります。再発の場合は、症状は比較的軽く、前回と同じ場所に水ぶくれや潰瘍ができます。ヘルペスが出る前にかゆみや痛み、神経痛のような症状が出ることもあります。ヘルペスウイルスが一旦体に入ると、完治することがないため、症状が出ていない時も膣の分泌物内にウイルスが排菌されています。これを無症候性排泄といいます。セックスの相手の免疫力が低下している場合や、相手の性器に傷があるとそこからウイルスが感染します。直接膣内に、ペニスが挿入されていなくても、水ぶくれや潰瘍に触れると感染する可能性があります。また、家族間で濡れたバスタオルを使いまわしたりすると、感染することがあります。

2)淋菌感染症

淋菌による感染症であり、主に男性の尿道炎、女性の子宮頸管炎を引き起こします。(女性でも尿道炎になる事があります)男性では2日から7日の潜伏期間ののちに症状が出ますが、女性では無症状の例が多く、感染していてもまだ治療を受けていない事が多く見られます。腹膜炎を起こすこともあり注意が必要です。のどの淋菌感染症は治りにくいこともあり、治療後は必ず再検査を行います。クラミジアに続き、頻度の高い性感染症です。膣内にペニスの挿入がなくても、相手の分泌物や精液が外陰部や膣の入り口にかかったり、指などを介して膣内に入れば感染する可能性があります。性交渉でのみ感染する性感染症です。

3)性器クラミジア感染症

大変頻度の高い性感染症です。女性の場合は、感染後1−3週間で発症するといわれています。感染すると子宮から卵管を経て、お腹の中に侵入し、子宮付属器炎や骨盤腹膜炎を起こすことがあります。卵管の癒着は子宮外妊娠の原因になり、不妊症の原因になります。女性のクラミジア感染症は、性交後の出血、おりものが多い、水っぽい、おりものが臭う、腹痛などの症状があることもありますが、全く無症状のことも多く、検査しないとわからないこともあります。膣内にペニスの挿入がなくても、相手の分泌物や精液が外陰部や膣の入り口にかかったり、指などを介して膣内に入れば感染する可能性があります。性交渉でのみ感染する性感染症です。

4)梅毒

梅毒は2015年くらいから日本でも大変流行しています。梅毒の病原体であるTreponema pallidum subspecies pallidum(T.p.)による感染症で性行為またはそれに類する行為により感染します。一般に皮膚や粘膜の小さなきずからT.p.が入る事で感染します。梅毒はその感染時期によって第1期から第4期に分けられます。

第1期梅毒

感染後3週間経過すると、侵入部位である感染局所にしこりができます。女性では外陰部、口唇、手の指などにできることもあり、最初のしこりはすぐに消失してしまうこともあり、その後3ヶ月後に第二期疹が出るまで無症状で経過します。症状が全くないこともあります。(無症候性梅毒)梅毒の血液検査は2種類行い、梅毒血清反応(RPR)とTPHA法です。梅毒血清反応は、感染後4週間は陽性にならないことがあり、陰性の場合でも再検査が必要なことがあります。

第2期梅毒

梅毒の病原体であるTreponema pallidum subspecies pallidumが血行性に全身に散布されて皮膚や粘膜に発疹などの症状が見られるものを第二期梅毒と言います。丘疹性梅毒疹(赤い盛り上がった発疹)は感染後12週間(3ヶ月)で出現します。有名な梅毒性バラ疹は、この第二期の早い時期に起こる発疹で、すぐに消退してしまうため、蕁麻疹と間違えられ、治療されていない場合もあります。手のひらや足の裏に赤い湿疹ができ、皮膚科でステロイドなどの治療をしてもなかなか治らず、実は梅毒が原因であり、梅毒の治療で完治された方もいます。この湿疹の分泌物が、相手の傷口に入れば感染の可能性があります。皮膚のみの接触であっても感染の可能性があります。
この第二期梅毒疹は丘疹性梅毒疹(盛り上がった発疹)、梅毒性乾癬(梅毒性バラ疹、扁平コンジローマ、梅毒性アンギーナ(口の中にできる潰瘍)、梅毒性脱毛、膿疱性梅毒疹などがあり、多彩な症状を呈し、その部分から感染する可能性があります。自分や相手に梅毒性アンギーナ(口の中にできる梅毒性の潰瘍)があった場合、オーラルセックスをした場合、相手に感染する可能性があります。3ヶ月から3年にわたり発疹が起こり、徐々に消退して無症候性梅毒になることもあり、再発を繰り返しながら、第3期梅毒、4期梅毒に移行することがあります。

第3期梅毒

現在ではほとんど見られませんが、結節性梅毒疹や皮下組織にゴム腫が生じます。

第4期梅毒

現在ではほとんど見られませんが、梅毒による大動脈炎、脊髄ろう、進行麻痺などが起こります

過去に梅毒にかかったことがある方

以前に梅毒にかかった事があるが、すでに治療して完治しているが、性病検査をすると、いつも梅毒の検査が陽性となってしまい再検査になって困っている。と言う患者様がいらっしゃいます。これは梅毒のTPHA検査(定性)は過去に梅毒にかかったことがあると、治っていても、かなり長期間にわたり陽性となるためです。再度病院に受診し、もう一度梅毒RPR定量の検査をしなくてはならず、採血も2回行うことになり費用もかかります。過去に梅毒にかかった事がない方でも、特異体質の方で、検査に引っかかってしまう方もいらっしゃいます。
そのため、当クリニックでは、性感染症検査を1ヶ月に1回で終了できるように、梅毒のRPR定量検査を組み込んだ感染症セットDを用意しております。
ご希望の方は、診察時に医師に直接お話いただくか、または受付にてご予約ください。(クリニック受付電話045−231−1770)検査で強陽性となった時は、保険診療で再検査を必要とする場合もあります。

5)B型肝炎

B型肝炎はB型肝炎ウイルス(HBV)が感染して起こります。HBV感染では性行為による感染ののち、2−6週でHBs抗原が陽性化します。感染者の血液や体液に触れると感染する可能性があります。 感染力が強いので、キス、オーラルセックス、性行為で感染します。同じ食器を使用しても感染することがあります。症状は倦怠感、微熱、悪心(ムカムカする)嘔吐、黄疸(白目の部分が黄色くなる)などの症状がありますが無症状のこともあります。検査で陽性となった場合は、内科受診をお願いしております。内科へのご紹介もできます。

6)C型肝炎

C型肝炎ウイルス(HCV)の感染によって起こる病気です。B型肝炎に比べて感染力は強くありませんが、性交渉も感染経路の一つですがその頻度は低いとされています。症状は倦怠感などがあることもありますが、無症状で健康診断などの血液検査で肝機能障害を指摘されて発見されることもあります。検査で陽性となった場合は、内科受診をお願いしております。内科へのご紹介もできます。

7)HIV感染症

HIV(Human Immunodeficiency Virus)感染症は、血液、体液などを介して感染する感染症で、現在日本では、異性間(男女間)または男性同性間(男性と男性)の性的接触が主な感染経路です。感染者の多くは感染していることを自覚していないため、他の人に移していることや、効果的な治療を受けることもなく、エイズ(Acquired Immunodeficiency Syndrome AIDS)を発症する患者さんもいます。他の性感染症にかかっていると、局所の傷害のためにHIVを伝搬しやすくなるとともに、感染を受けやすい状況になります。
潜伏期間は、数週間~十数年間です。感染初期に、発熱、のどの痛みや倦怠感などのインフルエンザに似た症状が出ることもありますが、数週間でおさまります。抵抗力が落ちてくると、発熱や下痢などの様々な症状があらわれ、さらに病気が進行すると、肺炎(ニューモシスチス肺炎)や脳炎(HIV脳症)になったり、腫れもの(カポジ肉腫)ができたりするなどの日和見感染症や悪性腫瘍を併発します。必ず、定期的に検査をしましょう。
当クリニックでも自費で検査ができます、またお住いの地方自治体で(区役所など)無料の検査が受けられます。匿名でも受ける事ができます。詳しくはお住まいになっている区役所や市役所のウェブサイトをご覧ください。

8)尖圭コンジローマ

潜伏期間は、約2.8ヶ月と言われています。HPVウイルス(6型11型)が原因で起こるウイルス性のイボです。コンドームを使用していても、コンドームで覆われていないところ、ペニスの根元、肛門周囲や、男性の陰嚢などにイボがあれば、それに触れたところに感染する可能性があります。相手の免疫力が低かったり、傷があったりするとそこからウイルスが侵入してイボを作り、どんどん増えます。一旦治ったように見えても潜伏感染している事があり、妊娠中に再発し、大きくなることがあります。出産の時に赤ちゃんののどに感染するとイボができて窒息することもあるため、子宮頸がんのワクチンにコンジローマのワクチンが組み込まれました。現在、日本で取り扱いのある4価のワクチン、ガーダシルに含まれています。詳しくはこちらをご覧ください。子宮頸がんワクチンの接種ご希望の際はクリニックまでお電話ください、予約制になります。(詳しくはこちらをご覧ください。クリニック受付電話045−231−1770)

9)膣トリコモナス症

潜伏期間は4日から7日くらいで、黄色の悪臭のするおりものが出ます。外陰部のかゆみ、痛み、おりものが多い、変な臭いがする、性交時や性交後の出血などの症状があります。トリコモナスは性行為で感染することが多いですが、まれに公衆浴場などで感染することもあります。タオルやお風呂の椅子、シーツなどでも感染することがあります。男性は検査をしても出にくいことがあり、保菌者となっている可能性もあります。

10)毛ジラミ症

吸血性昆虫であるケジラミが寄生することによって発症し、主に性行為によって感染します。主な寄生部位は陰毛ですが、頭にも寄生することがあります。稀な性感染症ですが、かゆみを伴い、下着に小さな黒いしみ(吸血された後の皮膚からの出血による小さい点状のしみ)が認められることがあります。発症の多くは感染1−2ヶ月後が多い様です。あまりかゆみを訴えない患者様もいらっしゃいます。産卵後、卵は7日前後で孵化し、脱皮し3齢幼虫を経て約20日前後で成虫となり、1−2日後に卵を産み始めます。ライフサイクルは3−4週間です。主に陰毛や頭髪の根元に卵を産みますが、セメント様物質なので、なかなか洗っても取れません。陰毛に何か白い小さな粒がついていたら要注意です。すぐに毛を全部剃るか、スミスリンシャンプーかパウダー(薬局に売っています)を使うと治療できます。シーツなどでうつることもあるため、下着や枕カバー、ソファーカバー、シーツなどは洗濯して乾燥させ、アイロンをかけると毛ジラミの卵が付いていても死んでしまいます。
定期的な性病検査は1ヶ月に一度、必ず受けるようにしましょう。

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